ガイナックスの社長である巻智博容疑者(50)が逮捕された。容疑は声優志望の10代の女性に対する準強制わいせつだ。元声優や現役声優からの告発により、声優業界の枕営業疑惑はしばしば取り沙汰されるが、今回はその疑惑が一部確信に変わるものになってしまった。
事件の概要
巻容疑者は2月6日から23日の間に計4回、ガイナックスが所有する「プロダクション女子寮」という名のマンション室内で、声優志望の10歳代後半の少女に「芸能人として撮られるための訓練だ」と言って裸の写真を撮ったほか「マッサージをする」などと言って体を触った疑いで逮捕された。なお、巻容疑者は「お願いして写真を撮っただけだ」と容疑を否認しているようだ。
ガイナックスについて
ガイナックスはエヴァンゲリオンの制作会社だとマスコミで報道されているが、今のガイナックスは版権を持っていない。庵野秀明が退社したのち、版権も同時に制作会社カラーに移っている。
ガイナックスは主力が次々に退社しており、現在のガイナックスにはまともなアニメーターはほとんどいないと言ってよい。過去の主力はTRIGGERやミルパンセなどに現在は所属している。アニメも『放課後のプレアデス』以降は制作されておらず、現在は、支部の福島ガイナ(現・株式会社ガイナ)がアニメ制作を行なっている(経営上は無関係)。
ガイナックスの前代表取締役は設立当初のメンバーの一人である山賀博之だが、2019年10月に巻智博容疑者へと変わったようである。事件当時、巻容疑者は声優などを育成する別会社「ガイナックスインターナショナル」の社長であった。したがって、巻容疑者は何の業績もない。
なおガイナックスの初代代表取締役社長は岡田斗司夫である。彼も2015年に枕営業を告発されており、自身でも80人の女性と同時に交際していたと発言している。ここまでめちゃくちゃな会社も珍しい。
声優プロデュース事業
そのガイナックスが声優のプロデュース事業をしていたこと自体知らなかったのだが、ネットで調べると、「GAINAX International 新人オーディション」というオーディションを発見した。
参考:オーディションTV
オーディションの募集要項などが書かれているが、声優・アニソン歌手のオーディションのはずなのに、求められているのは、全身写真と上半身の写真のみで、声のデータなどは一切ない。もうこの時点で、声優の育成などするつもりはなく、単にそういう目的のために声優の卵を集めていただけのではないかと疑う。
また、養成所所属費に9万円、レッスン料は月額2万円を徴収しており、お金を払ってわいせつな行為をされた被害者の方の心情を思うと許せない。容疑者は否定しているが、容疑が真実なら、声優になりたいという気持ちを利用する極悪非道の行いだ。
たぶんエヴァンゲリオンを制作したガイナックスという名前につられて応募してしまったのだと思うが、今はそんなアニメを作れる会社ではない。声優オーディションや養成所などに応募するときは、しっかりと調べてから応募するべきだ。世間には、食いものにしようとしている輩が残念ながら沢山いる。
声優業界の枕営業について
今回の事件は、対価や圧力をちらつかせ、声優に関係を迫ったという点で、いわゆる枕営業に等しい。声優業界の枕営業で最初に思い出されるのはアーツビジョン事件である。こちらも社長だった松田咲實が、声優志望の女性に面接中に卑猥な行為をしたとして逮捕されている。
その他にも、声優の小西寛子さんが性的な接待を強要されたと告発しているし、元声優の優月心菜さんも枕営業があったと番組で暴露している。さらに、アニメ『うどんの国の金色蹴鞠』のプロデューサーの柴宏和が声優の古城門志帆をむりやり主要キャストに押し込んだと監督が暴露する騒動もあった。
今回の事件で、やはり声優業界には枕営業がいまだに蔓延っている可能性が強く示唆される。こういう事件が起きると割りを食うのは、ちゃんと実力で役を勝ち取っている声優さんである。
今は、アイドル声優ブームのおかげで声優志望の女性がめちゃくちゃ多く、またスマホゲームや養成所ビジネスなどで業界も潤っているだろうが、こんなことが続くと、愛想を尽かされてもおかしくない。いつも声優業界が軽んじられるのも、こういう事件が後を絶たないからである。声優業界は自分で自分の首を締めている。