2019年10月17日からTOKYO MX系列で『劇団スフィア』というスフィアのメンバー4人が出演する実写ドラマが放送されている。みなさんもご存知だろうが、スフィアの冠番組はこれが初めてではない。2011年7月から『スフィアクラブ』という番組が深夜に日本テレビ系列で放送されていた。
この記事では『劇団スフィア』の感想とともに『スフィアクラブ』との違いについて書いていきたい。
劇団スフィアのコンセプト
『劇団スフィア』は新進気鋭の脚本家や演出家が監督となって、スフィアのメンバーを出演者としたドラマ番組である。予定されている監督は『おっさんずラブ』の脚本家である徳尾浩司をはじめとして、岸本鮎佳、西条みつとし、山田佳奈、益山貴司が務める。
各監督が2話完結の短編ドラマを作成し、5作品計10話のオムニバス形式の番組になっている。内容はコミカルなものもあればシリアスなものもあると、公式ブログで戸松遥が書いていた。
「SHELTER」感想
1話および2話は徳尾浩司監督の「SHELTER」という作品だ。バンドのアルバム作りのために地下シェルターに籠ったスフィアの4人(劇中ではユキ、ミサ、アサコ、クルミ)だったが、ある日突然爆発音が聞こえて、外に出られなくなってしまう。そこに現れたのは役所勤めを名乗る西中島という男だった。彼は危険だから外に出るなと言いながら、毎日4人にサラダやパンなどを配給する。しかし、彼は異常なほど水を飲んだり、4人が外で何が起きているのかを聞いてもはぐらかしたりと謎が深まっていく。
1話では、外の様子や西中島という男の目的が、謎の中心となってサスペンス的な要素もありながら、西中島の異常な行動やスフィアの4人の掛け合いがコミカルで、緊迫してるんだかしてないんだか不思議な雰囲気のドラマになっている。2話では一転してコメディの要素が強くなり、1話の謎が明かされていく。
ストーリーとしてはあまり意外性もなく、コメディとしても出来がいいとは思えないのだが、スフィアのことを全く知らないはずの監督が、彼女たちの個々の性格をばっちり捉えているような役になっていて、その点では流石にプロの脚本家だなと感心した。
余談だが、劇作中の年齢は実年齢を使っているのに彼氏がいるかどうかの質問にはいないと答えていたのがもやっとした。寿美菜子以外はもうみんな結婚しているのに。
スフィアクラブとの相違点
『スフィアクラブ』はアニメパート、ドラマパート、歌パートの3つのパートからなるコント番組であり、構成的には『SMAP×SMAP』が近いだろうか。高垣彩陽がメインのボケ役、戸松遥がツッコミ役で、空想の部活をネタにしたコントだった。脚本家は著名な福田雄一が担当していたが、正直言ってあまり面白くはなかった。
頑張っていたスフィアには申し訳ないが、コントはめちゃくちゃ空回りしていたし、見ているこっちが共感性羞恥を催すほどだった。一部にはスフィアの黒歴史扱いされている。ただ、歌パートは毎週楽しみだったし、主題歌の『LET ME DO』はスフィアでも屈指の名曲だった。
『劇団スフィア』では台本がしっかり練られていて、『スフィアクラブ』で感じたような恥ずかしさはほとんどない。それは私がスフィアに対するイメージが変化したのかもしれないし、放送局がMXという声優のホームだからかもしれない。だけど『スフィアクラブ』はスフィア結成から2年後の番組だったために、演技的にもこなれていなかったし、番組サイドもスフィアという声優ユニットを売り出すのに躍起になっていたのだと思う。
『劇団スフィア』では既存のファン向けの企画の雰囲気があり、スフィア自身の宣伝よりも番組自体を面白くしようとすることに集中している印象を受ける。それが成功しているかは微妙だが、そのおかげで、逆にスフィアのファン以外も観れる番組になっていると思う。
『劇団スフィア』はエムキャスやdアニメでも視聴できる。スフィアファンはもう観ていると思うが、『スフィアクラブ』でスフィアの実写ドラマには辟易した方や、スフィアのファンではない方も一度観てみてはいかがだろうか。