平野綾はグータンヌーボ事件がなければ声優界で天下を取れたか?

2000年代後半にアイドル声優界を席巻した声優がいた。平野綾である。しかしながら、2010年代にグータンヌーボ事件、ブブカによるスキャンダルスクープとスキャンダルが連続したことにより、オタク人気を失い、人気声優の道を外れていった。

彼女自身はその後、女優やタレントとして活動し、舞台女優としては帝国劇場に出るまで大成している。しかし先日、5ちゃんねるに「平野綾は何もなければ声優界で天下を取れたか?」というようなスレが立っていた。もちろん彼女はアニメにもいまだに出演しているが、たしかに声優ファンとしては、もし彼女がスキャンダルなく、ずっと声優を続けていたら、女性声優の頂点に立てたのかは気になる。

そのスレでは、立てたと言う人もいれば無理だと言う人もいて意見は分かれていた。そこで私も僭越ながら考えてみたいと思う。

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声優・平野綾の経緯


公式サイト

1998年に子役として芸能活動を開始。2001年に『おとぎストーリー天使のしっぽ』で声優デビューする。大きな転機になったのは、2006年の『涼宮ハルヒの憂鬱』で主人公の涼宮ハルヒ役を演じ、さらに主題歌を担当したことだった。『ハルヒ』は社会現象となるほどの盛り上がりを見せ、主題歌「冒険でしょでしょ?」は累計6万枚以上を売り上げて平野綾の最大のセールスとなった。

これをきっかけに音楽番組にも呼ばれるようになり、一般層の知名度も上がっていった。2007年には『らき☆すた』の泉こなた役で更に人気に火がついた。しかしながら、彼女の中では元々子役出身ということもあって、芸能界への未練が捨てられなかったものと思われる。実際にグータンヌーボ事件以前からマルチタレントと(自虐しつつ)自称していた。

そして2010年からは、テレビへの出演を精力的にこなすようになった。グータンヌーボ事件は平野綾のテレビ進出の端緒ではなく、あくまで一部だった。バラエティーで爪痕を残そうとするあまりに、アイドル声優ではタブーとされていた過去の恋愛遍歴の話をしたのだろう。

2011年には週刊誌ブブカにバンドメンバーとのニャンニャン写真をスクープされ、アイドル声優としての活動は実質的に終了を迎えた。コンスタントに2万枚近くを売り上げていたCDも数千枚にまで落ち込んでいった。

ただし、出演アニメは少ないものの彼女の声優としての活動は今も続いている。『アンパンマン』のコキンちゃん役はその中でも最も有名だろう。また先日はアニソンを歌うライブも開催した。平野綾のファンはライフライナーと呼ばれるが、「声優の平野綾」が好きな人へのファンサービスもいまだに行なっている。

平野綾は女性声優の頂点になれたか?

現在の女性声優のトップは言わずもがな水樹奈々であろう。圧倒的な歌唱力で、音楽特番では顔を見ないことがないし、声優としての人気も不動のものになっている。

一方で、平野綾も歌唱力に定評があった。実際に今ミュージカル女優としてやっているんだから、歌唱力のポテンシャルそのものは水樹奈々と同等レベルだったんじゃないかとすら思う。そして特筆すべきは、そのビジュアルで、それまでの一般層が持っている声優のイメージをガラリと変えてしまうような若さや洗練さがあった。

『ピカルの定理』などは別に平野綾じゃなくても務まるような仕事なのに、他のアイドルやタレントと競合してレギュラーを勝ち取ったのはやっぱりビジュアルが評価されたのだろう。

歌唱力もよくビジュアルもよいとなると売れてもおかしくないのだが、私はそれでも水樹奈々を超えることはなかったのではないかと思う。過去の記事でも書いたが水樹奈々がここまで大きくなったのは、その時代性があったためだと思うからだ。

声優好きであるということを公言しにくい時代に、水樹奈々という声優なのにアーティストに近い存在が現れ、彼女がアーティストとしてスターダムを駆け上がったことで、声優オタクは社会的に承認された気持ちになった。それが彼女の人気を後押しした。

一方で平野綾は初出演した『HEY!HEY!HEY!』でも、声と性格を作っていて、あくまで既存の「声優」というキャラクターを演じているようだった。番組の意図的には、声優をいじって面白くしようというのがあったのかもしれないが、ファンにとっては自分がバカにされたような気になってしまう。それではやっぱり新しく応援したいと思う人は少ないだろう。

平野綾は優れたビジュアルと『ハルヒ』という大きなブームのために、アイドル声優であることを強いられて、ファンの数に天井ができてしまったように思う。声優のアイドル化は短期的なファンの獲得には効果的だが、逆にファン層を狭めてしまうのではないか。それも彼女は分かっていて、声優から脱却するのではなく、アイドル声優から脱却するためにグータンヌーボで恋愛遍歴を披露したのだと思う。

声優が売れるためには大ヒットアニメが必要だが、もう少し着実に歩んでいたら、今ごろは声優としても芸能人としても大活躍できるような結果になっていたのかもしれない。

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平野綾
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こえのおと
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