元声優の優月心菜が声優業界の枕営業をテレビ東京系列の『じっくり聞いタロウ』では暴露した。それによると
(声優業界は)一番闇が深い業界だと思う。世間を知らない女の子がすごく多くて、めっちゃ抱かれてて「仕事を今度あげるよ」とプロデューサーのおじさんとかが言う。そもそも個人的に知り合って仕事をもらえるかというと、絶対もらえない。
言わないほうがいいけど、国民的アイドルアニメとか下積み時代にみんなめちゃくちゃ枕営業して、名前変えて有名になってデビューする子がすごく多くて私も誘われた。
この記事では、この暴露内容の信憑性を検証する。声優業界に枕営業は本当に存在するのか?
暴露内容の信憑性はあるのか?
証拠が存在しない場合は、発言の信用度は発言者の素性に大きく依存する。優月心菜は、2012年にアバンジという事務所からデビューしている。その後、2016年12月にアクロスエンタテインメント所属の内定をもらったのだが、先輩声優の嫌がらせにより所属がもみ消しになったらしい(情報元がWikipediaなので真実はどうかは不明)。結局01familiaに移籍したが、そこも1年で退所し、2019年2月にセクシー女優としてデビューしている。
声優業界に5年間在籍していたのだが、仕事はドラマCDや数本のソーシャルゲームに留まり、メジャーな声優ではなかった。なお当時は、柊かなえという芸名で活動していた。アバンジという事務所も純然たる声優事務所というわけでもなく、タレントが所属しており、またそもそも事務所自体が小さい。したがって、今アニメなどに多数出演している人気声優が枕営業をしているかどうかを彼女が知ることは難しかったのではないかと思う。
なお、国民的アイドルアニメというのは『アイドルマスター』か『ラブライブ』のことだろうとは思う。アイマスに関しては声優が多すぎるために、何とも言えないのだが、『ラブライブ』には元芸能人が多く存在しているので、「下積み時代」「名前変えて有名になってデビューする」に該当する人は割合的に多い。
新田恵海はみくちゃんの名前で活動していたし、三森すずこは黒川鈴子、Pileは堀絵梨子という本名でも活動、久保ユリカは楢原ゆりか、久保由利香と何度も芸名を変えている。またAqoursにおいても逢田梨香子は伊藤梨花子が旧芸名である。そして元芸能人が多いということは、優月心菜が知ることができた可能性も高くなる。なぜなら彼女は過去にアイドルとしても活動していたからだ。
しかしながら、この場合の下積み時代というのは、むしろ芸能界時代であって声優業界時代ではない。もし優月心菜の発言が正しいとしても、それは声優業界に枕営業が存在するのではなく芸能界に枕営業が存在するということになる。さらに、証拠がないのでこの発言をもってして、枕営業が存在すると言い切ることは難しい。では、声優業界に本当に枕営業は存在しないのだろうか?
声優業界に枕営業は存在しないのか?
声優業界の枕営業と聞いて最初に思い浮かぶのは、2007年のアーツビジョン騒動である。アーツビジョン主催のオーディションにで、社長の松田咲實が受験生の未成年の少女に合格を見返りにわいせつな行為を行った事件である。その後、日ナレ生徒からのパワハラ告発などもあり事態は紛糾。アーツ所属の声優の枕営業疑惑が取り沙汰された。
また2016年にアニメ『うどんの国の金色蹴鞠』の監督が、プロデューサーの柴宏和が声優の古城門志帆をむりやり主要キャストに押し込んだとFacebookで暴露する事件があった。このときも枕営業ではないかとネットで話題となった。
さらに2018年に声優の小西寛子が、原マネージャーおよび大地丙太郎監督と一緒に混浴にはいるように強要されるセクハラがあったと告発した。またこのとき、原マネージャーが堀江という名前の人と仲良くしていたこと、十兵衛ちゃんの2代目キャストを監督、スタッフが熱心にプッシュしていたこと、そしてフルーツバスケットに関しても同様なことがあったとほのめかしている。これは、堀江由衣以外には考えられない。そして堀江由衣はアーツビジョン騒動のときに在籍していた声優である。
参考:小西寛子のおじゃる丸の降板理由で再燃するNHKの闇と声優業界の枕営業疑惑
またこれ以外にも、劇場版Zガンダムの声優変更騒動やアイマス黒埼ちとせ騒動、テイルズオブゼスティリアんほぉ〜騒動など声優業界の枕営業の噂は絶えない。一部に現役声優や業界人がそんなことは存在しないと否定するケースもあるし、ここに挙げた3つはほとんど言い掛かりに等しいもので枕営業の証拠にはなり得ない。
しかしながら実際にリスクを負って実名で暴露する人もいるのでそれらが全て嘘とは言い切れず、なんらかの枕営業は存在しているのは事実なのだろう。声優業界もあくまで芸能界の一部であると考えれば、存在しないとするほうが難しいのかもしれない。