先日、とあるブログの記事が話題になった。その記事はアイマスシンデレラガールズの7th名古屋ライブのレポート記事だったのだが、その中に「鷺沢文香の声優代えろ」という一文があった。
鷺沢文香の声優はMAOである。彼女はライブイベントなどのステージ上に立つことがほとんどない。このブログ主は、ステージに立たないことに対する納得のいく説明をしないのであれば、声優を交代してほしいという思いから、この一文を書いたらしい。
この記事は多くの人に拡散されて、いろんな議論を巻き起こした。もう炎上自体は収束しているので、何を書いても元のブログには迷惑にならないと思うから、ちょっと私の意見を書こうと思う。
なぜMAOはライブに出ないのか?
まず、なぜMAOはアイマスのライブに出演しないのかというのが大きな疑問としてある。例の記事ではMAOはプリンセスコネクト(プリコネ)のイベントも出ていないと書いてあるが、出演している。しかもめちゃくちゃ可愛いフリフリのコスプレ姿で、だ。
その姿で歌も歌っている。つまり、イベントやステージでの歌唱が嫌なわけではないし、Cygamesとの確執があるわけでもない。この記事が話題になったときに、私がTwitterで意見を書いていた。
MAOはプリコネイベント出てるよ。こういう言い方は良くないかもしれんが、ペコリーヌのコスプレして歌う以上の辱めはあるのかとすら思うから、別に恥ずかしいから嫌とかじゃないと思うんだよ。このブログ主みたいに、アイマスオタは過激派が多いから、そういうオタが嫌いなだけじゃないかと。
だけど、これに対して、アニサマのプリコネイベントは出演していないというレスを頂いた。確かにその通りなので、アイマスだけが嫌だというわけではないのかもしれない。
それでMAOの出演した過去のイベントを軽く調べたのだが、どうやらトークがメインのイベントで、最後に主題歌を歌うようなタイプのものでは、基本的に参加していて歌も歌っているようだった。例えば『がっこうぐらし!』のスペシャルイベントでは、最後に主題歌の「ふれんどしたい!」を歌っている。
またアイマスも「We’re the friends!」のリリースイベントには参加している。つまりライブがメインのイベントには参加しないのではないか(もし参加してるものがあれば教えてください)。
このことで思い出されるのは、花守ゆみりが「アイドル声優になりたくない」と言ったことだ。彼女はインタビューで、キャラクターよりも声優が前面に出て歌って踊ることに違和感があると語っている。
しかし、MAOの場合は前述の通り、歌って踊ること自体に対して拒否感があるわけではない。よって友人とも話して結論付けたのは、彼女はレッスンやリハーサルなどで長時間の拘束を避けているのではないか。
※ イロドリミドリのライブには出演しているという情報をいただきましたので追記させていただきます。レッスン説も怪しいかもしれません。あくまで一つの説として見てください。
MAOはアニメなどの出演数が極めて多い。2019年は28作ものアニメに出演している(Wikipedia)。したがって、ライブで時間を使うのではなく、多くの数の役をこなすことに力を入れているのではと考えた。彼女は芸能事務所にもかかわらず、ここまで役を勝ち取ることができるのも、そこに集中しているからではと思っている。
アイマスライブに消極的な声優
ところで、アイマスでライブへの出演が少ない声優はMAOだけではない。例えば、藤田茜(水本ゆかり役)は、アイマスライブの出演が少ない。彼女は過去にナナシスの荒木レナ役を(多忙という理由で)降板していることもあり、アイドルとして舞台上で歌うことは避けている気もする。
また、前項で言及した花守ゆみり(佐藤心役)も(膝の怪我が理由で)リステの伊津村陽花役を降板している上に、「アイドルにはなりたくない」と宣言したので、今後は出演はほとんどないのではないかと思う。
ライブに出ないなら声優交代すべきか?
これらの女性声優に関しても、しばしば声優交代論が出てくる。ではライブに出ないなら声優は交代すべきなのか?
Twitterでは声優は変えるべきでないという意見が大半だった。アンケートを取っている方もいて、エコーチェンバー効果で偏りが生じている可能性は否めないが、その結果でも9割以上の人が声優交代に否定的だった。
鷺沢文香LIVEに来ない問題について
鷺沢文香の声優を変えるべきか否か、という話題が度々出てくるんですけど
俺自身結果がどう出るのか気になるので出来れば拡散して頂けるとありがたいです— よっしー (@1122_ayataka) November 12, 2019
またアイマスの運営ものっぴきならない理由がない限りは、声優交代を認めていないように思う。私も基本的には、声優交代には否定的である。
キャラクターを構成する一部には声というものが当然あるし、声優が演技したとしても、完全にそのキャラクターに憑依することはなく、声優の内面から滲み出てくるものがあって、それがキャラクター像を形成している。声優が変わるということは、声が変わるだけではない変化をもたらすと私は思っている。
さらに、アイマスは中の人ネタが多いという特徴もあり、声優とキャラクターの不可分の関係性が他作品よりも比較して強い。ところが、この不可分性は逆にアイドルがライブに出演しないのはおかしいという意見にも繋がる。ライブに出演しないという(余計な)人格が、意識せずキャラクターに逆輸入されてしまう虞があるということだ。
では、なぜ私が声優交代には否定的かと言えば、単純に、声優交代によって発生するキャラクターへの影響とライブに出ないことによって発生するキャラクターへの影響を考えると、前者が大きいと考えるからに過ぎない。
結局のところ、声優の仕事があまりにも多岐に渡ってきて、歌って踊るのを声優の仕事の主と考える人もいれば、あくまで従と考える人もいるという考え方の違いが顕在化して、このような対立が生じているのであろう。
アイドル的な仕事を増やして大きくなってきた声優業界だが、最近はアイドル系の役を降板する人も増えてきて、アイドル声優に疑問を呈する声優も出てきている。声優の在り方について改めて考えなければならない時期が来ているのかもしれない。