松本まりかさんをご存知だろうか?
もしかすると、このブログの読者の方よりも、中高年の女性の方が、知ってるという答えが多くなるかもしれない。最近ブレイク中の女優さんで、テレビ朝日系の『ホリデイラブ』というドラマでのあざとい主婦役で注目され、多数のドラマに出演するようになり、現在はバラエティ番組などにも呼ばれるようになっている。
一部では怪演女優という二つ名を付けられ、先日は人気ドラマの『ドクターX』で大門未知子に対抗する中山麻里亜役で出演することが決定した。ドラマを観ない人もソフトバンクのCMでのウェイトレス役と言えばピンとくる人もいるかもしれない。
35歳とは思えない童顔で可愛らしいルックスに目を引かれるが、もっと印象的なのは声だ。実際に動画を見てもらえば分かるが、甘ったるいいわゆるアニメ声で、そのルックスも童顔だから声優としても人気が出そうである。と、もったいぶった書き方をしてみたが、実は松本まりかは声優でもあるのだ。
声優としての松本まりか
声優として松本まりかの最も有名な仕事は『ファイナルファンタジーX』のリュック役である。可愛い声が快活で天真爛漫なリュックの性格に良く合っていたし、演技もこなれていた。
また、声優業としては、その他にも『シュガシュガルーン』のショコラ=メイユール役、『蒼穹のファフナー』の遠見真矢役などを演じている。『ファフナー』においては、2019年に先行公開された『THE BEYOND』にも出演している。キャラソンも歌っていて、正真正銘の声優でもあるのだ。
ところが、彼女のリュックとしての仕事は、2016年にリュック役で出演した『ワールド オブ ファイナルファンタジー』を最後に途絶えている。FFの過去のキャラクターが集合するスマホゲーム『ディシディアファイナルファンタジー オペラオムニア』にリュックは出演していない。
『オペラオムニア』では『FFX』の主要な味方キャラクターはリュックを除いたティーダ、ユウナ、ワッカ、ルールー、キマリ、アーロンと全員が参戦済みである。リュックは『FFX-2』にも出演しているので、ティーダ、ユウナに続くメインキャラクターなのに出演がない。当然ながら『FFX-2』のパインもゲームに参戦している。
出演していない最大の理由として考えられるのは、女優としてブレイクしたのでギャランティーが高くなったというものだろう。確かに『FFVII』のレッドXIII(市村正親)は出演していないので、その可能性は極めて高い。『ファフナー』には出演しているので、売れたから声優仕事が嫌だというわけではないだろう。
しかし、先日の写真集のリリースイベントのインタビューなどを聞くと、松本まりかさんは声優の仕事をあまり快く思っていなかったのかなと感じるようになった。
松本まりかはみんなの心に残っている
2019年11月8日に行われた写真集のリリースイベントで、松本まりかは人目をはばからず涙を流した。今までの女優人生の苦しさを思い出していたようだ。そして、過去を振り返り、今までの仕事を批判的に捉える発言をしている。
自分の演技が多くの人の心に残ってこなかったということだと思う。人の心に残ることをずっと求めてきた。何かしら人の心を動かせる人だったり女優だったりになることを望んできたので、怪演でも何でもうれしい。自分のやりたい表現ができるスタート地点に、35歳で立てている。
引用:日刊スポーツ
また、mantan webのインタビューでも、過去の自分を否定するような言葉を繰り返している。
悔しかった以上に、この仕事をしているのに、求められていない自分が恥ずかしくて、自分の存在を自分ですら認められない、その事がとにかく苦しかった。
なぜかっていうと、当時、私は誰からも尊敬されるような人間とは程遠かったから……
18年間も売れない女優を続けてきて、ようやく日の目を見たのだから、その感慨も一入だろうし、売れなくても諦めずに地道に努力し続けてきたのは敬服する。女優で芽が出ないと、フィールドを変えてしまう人が多い中で、一途な姿勢はかっこいい。だけど、今までの自分をそんなに卑下しないで欲しいとも思う。
『FFX』はワールドワイドな人気ゲームで、海外でも日本版の声優「松本まりか」の名前は認知されている。リュックの声は発売から18年経過した今でもみんなに記憶に残っている。「オペラオムニア リュック」でTwitter検索すると、彼女の声で参戦を熱望する人がたくさん出てくるし、「松本まりか」で検索すれば、リュックや真矢の思い出を語っている人がたくさんいる。
元々女優志望だったから、声優は売れない時期にやらされた不本意な仕事だったのかもしれない。だけど、全部を否定してしまうのは少し寂しい。女優としてだけではなく、声優としての彼女も、世界中の何百万人の人の心や記憶に残り続けているのだから。